【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?






「もしかして、星司くんから心変わりした?」



葵ちゃんがニヤニヤしながら言った。



「ち、違うよ!話すのに慣れてきただけだよっ」



私が好きなのは星司くん。
入学式からずっと……変わらない。


でも……。
たまに、拓磨くんにドキドキしたり、胸がキュンとしたりするんだ。



私は……拓磨くんのことをどう思ってるんだろう。



自分でもよくわからない。



「はいはい、そろそろ行かないと遅刻しちゃうよ」



「う、うん……」



拓磨くんの貸してくれたジャージを着て、教室を出た。



ジャージ、ぶかぶか……。
拓磨くんも男の子なんだなぁ。
あ、拓磨くんの……匂いがする。
甘くて優しい匂い……。
この匂い、結構好きだなぁ……って、私ヘンタイみたいじゃん!



あれ……なんで拓磨くんの匂い、知ってるんだろう。



初めて一緒に帰ったときの電車内でのことや、頭を撫でられたこと、そして……さっき肩に頭をのせてきたことが思い出される。



拓磨くんの匂いを覚えちゃうほど……一緒にいるって、近くにいるってことなんだ。