【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?






会話のないまま、屋上につき地べたに座る。



そこには、空になったタッパーが置いてあった。



「リンゴ、完食したんだ」



「あぁ、美憂にも残しておこうかなって思ったけど、やっぱりガマンできなかった」



「ふふ、全然いいよ。拓磨くんが美味しく食べられたなら」



拓磨くんが一人で黙々とリンゴを食べているのを想像したら、なんだかおもしろくて思わずふきだす。



「なんで笑ってんの」



「ううん、別に~」



「ふぅん……で、それは飲まないの?」



拓磨くんが私の持っている缶を指さす。



「あぁ、うーん、なんだかオレンジジュースの気分じゃなくなっちゃった」



星司くんには悪いけど、拓磨くんの様子を見ていたら飲む気分じゃなくなった。
また帰ってから飲もう。



「そう。じゃあそろそろ教室戻るか。次、体育だし」



「うんっ!」



私と拓磨くんは片付けると、屋上を後にした。