【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?






「そうやって……何回も名前呼ばれると、苦しい」



「くる、しい……?」



どうして……?
なんで、苦しいの……?



「……ごめん」



拓磨くんはポツリとつぶやくように言うと、私の肩に頭をのせた。



「俺は……人を好きになることが、怖い」



「え……?」



人を好きになることが……怖い?



「それってどういう……」



「やっぱなんでもない、ごめん」



ハッと我にかえったように言うと、私から離れて屋上の方に歩き出す。



拓磨くん……やっぱり過去になにかあったんだ。
今、拓磨くんが苦しんでいるなら、助けてあげたい。



でも、どうしてあげたら……。



私にはなにもできないのかな。