「なにも言わなくていいから」
それだけ言うと、屋上の方へと歩き出した。
「拓磨くん、待ってよ~」
慌てて拓磨くんに追いつく。
「拓磨くん、どうかしたの?」
「…………」
私の問いかけに拓磨くんはなにも言わない。
「ねぇ、拓磨く……きゃっ!」
ダンッ―――
すると、いきなり拓磨くんが私を壁に押し付けた。
私は拓磨くんと壁に挟まれる。
拓磨くんの表情が見えないから、なにを考えているのかわからない。
私の胸はドクドクと音を立てはじめる。
「あの……っ拓磨く……」
「……呼ばないで」
「え……?」
拓磨くんの言葉の意味がよくわからなかった。


