「いいよ、殴りたいんだったら殴っても」
「せ、星司くんっ」
ダメだよ!
拓磨くんに殴られたら大怪我しちゃうよ……!
私はどうしていいのかわからず、心臓をバクバクさせながら2人を見つめていた。
拓磨くんが星司くんを殴ってしまうのかとヒヤヒヤしていると、拓磨くんは星司くんを睨んでから舌打ちをして掴んでいた胸倉を離した。
「殴らないの?」
「もう、むやみに人を殴るとか、そういうのやめたから」
そっか、そういえばそんなこと言ってたな。
……拓磨くんは、今までどのぐらいの人を殴ってきたんだろう。
やっぱり、数えきれないほど?
どうして拓磨くんは、不良になってしまったのだろう。
「……へぇ」
拓磨くんの言葉を聞いたときの星司くんは、不敵な笑みを浮かべていた……ような気がした。
「どうしてキミが美憂ちゃんと付き合ってるのか知らないけど、美憂ちゃんを自分勝手に振り回すのはよくないと思うよ」
自分勝手に振り回す、って……。
星司くんも、私が拓磨くんに無理矢理付き合わされてると思ってる、ってこと?


