【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?







「ごちそうさま」



「私もはやく食べなきゃ」



「いいよ、そんな急がなくて。まだ時間あるし」



「うん、そうだね」



立ち上がってソファに寝転ぶ拓磨くん。
私は黙々と朝ごはんを食べた。



今日……学校行ったらすごいんだろうな、女の子たちの黄色い声。
拓磨くん、すっかりカッコよくなっちゃったんだもん。



日向の言う通り、他の女の子に拓磨くんを取られちゃうかもなぁ……。
でも、それは私にとっては好都合だよね。
だって私は拓磨くんと別れて、星司くんに告白したいって思ってるんだもん。



だから好都合……なはずなのに。



拓磨くんが私のそばからいなくなるって思うと、なんだか少し寂しいんだ。



拓磨くんは私のものでもなんでもないのに。
拓磨くんと私はお互いに恋愛感情はないのに。



……拓磨くんのことを、本当は優しい拓磨くんのことを知ってしまったから、拓磨くんのことが気になって仕方ないんだ。




「……美憂?」




拓磨くんの声でハッと我にかえる。