「よかったです、拓磨くんぐらいしかこんなドジな姉貴をもらってくれる人なんていないですから」
「あぁ、任せろ」
拓磨くん、正気なの……?
そんなワケないよね、私をからかおうとしてるだけだよね?
「よかったな、姉貴」
日向はなにも知らず、笑顔を向けてくるけど……でも……なにもよくないよ!!!
「でも、姉貴も油断してると拓磨くんを他の女に取られちゃうよ?黒髪になってだいぶカッコよさ増したし」
「う、うん……」
とりあえずそう答えたけど、なんて言っていいのかわからない。
私の本命は星司くんだし……ね。
「あ!もうそろそろ家出なきゃ!」
日向が茶碗のごはんをかきこんで立ち上がった。
「じゃ、いってきまーす!!!」
「いってらっしゃい」
「気を付けてな」
私と拓磨くんは日向に手を振った。


