【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?







「それに、黒髪も似合ってるでしょ?」



確かに、前の明るい茶髪も似合ってたけど、黒髪も悪くない。
印象は全然違うけど、拓磨くんはどっちも似合っちゃうなんてズルいなぁ。



「うん、すごく似合ってる」



変身した拓磨くんを見た女の子たちの反応、すごかったもんな。
拓磨くん、人気出そうだな。



そう思うと、なぜか少し寂しい気持ちになった。
なんで……?
拓磨くんが良い人だってみんなに知ってもらえるチャンスなのに。



「……どうかした?」



「へ?ううん!なにもないよ!」



「ふぅん」



「はぁ~今日の晩ごはんなにかなぁ~」



私はごまかすように話題を変える。



「もう晩ごはんのこと考えてんの」



「私が言うのもアレだけど、うちのお母さん、料理得意だからさ!毎日晩ごはんが楽しみなんだよね」



お母さん、掃除とか洗濯はニガテなくせに料理だけは上手い。
私はお母さんの料理が大好きだ。