「もしかして、今朝のクラスの女の子たちの会話、気にしてたの……?」
私が言うと、拓磨くんは少し目を見開いた。
「あの子たちはきっとまだ、拓磨くんのことを見かけしか知らないから、あんな風に言ってただけだよ!拓磨くんが本当は優しい人だってわかればきっと、あんなこと言ったりしないよ!」
拓磨くんのことを変なウワサとか見た目で判断してしまっているだけなんだ。
私だって最初はそうだったもん。
やっぱり人は接してみないとわからないものだなって、拓磨くんと関わって思ったもん。
「……あとね、あの子たちは私が騙されてるんだって言ってたけど」
そして私は拓磨くんに言わなきゃ。
本当のことを。
「騙しているのは私の……」
「別に理由はないって言ってるでしょ」
拓磨くんは私の言葉を遮って言った。
「別にアンタのためとかそんなんじゃない、から」
「拓磨くん……」
「そろそろ指導されすぎて謹慎になりそうだったから、真面目にしようって思っただけ」
そう言って、シャキッといい音を立ててリンゴをかじった。


