「あ、あの……」
「なに」
「そんなにじーっと見られると恥ずかしいんだけど……」
「ふぅん」
「だからそこのソファででもゆっくりしてて?」
「ヤダ」
「な、なんで……」
「アンタが俺のために頑張ってリンゴむいてる姿、見てたいから」
「そんなぁ……」
緊張して、手切っちゃいそうだよ……。
拓磨くんって優しいけど、ときどきイジワルだよね。
でも、拓磨くんの少し嬉しそうな顔を見ると、イヤだって言えないんだ。
私はリンゴを手に取って、皮をむきはじめる。
「…………」
慎重に、慎重に。
やばい、手が震えるよぉ……。


