「あ、ありがと」
拓磨くんがらリンゴの入った袋を受け取ろうとしたら、ひょいっとかわされた。
「俺が持つ」
「で、でも……」
「俺の方が力あるし」
拓磨くんはやっぱり優しい。
無愛想に見えるけど、ちゃんと私に気をつかってくれているんだ……。
それから私たちは電車に乗り、歩いて、私の家に到着した。
「ど、どうぞ」
家の鍵を開けると、拓磨くんを中に案内する。
まだお母さんも日向も帰ってきてないみたいだ。
「ん」
「ありがとう」
拓磨くんからリンゴを受け取ると、私はエプロンをつけてキッチンに入った。
そして包丁を握る。
ふと拓磨くんの方を見ると、拓磨くんは私をじーっと見つめていた。


