俺は無我夢中で走って、リレーのバトンを繋げていた。




走って、走って、走って、走って。





走りながら、心の中で思いが溢れ出しそうだった。







・・・・・嗚呼、好きだ。





花菜のこと、好きだ。




 


好きだ。好きだ。好きだ。





空の青い色も、校舎も、グラウンドも、



みんなの笑い声も、走っている俺でさえ、



全部、全部、違って見える。







自分の気持ちに気づいたら急に花菜の姿を探していて、バトンを繋げた俺はグラウンドに前のめりに転んでしまったのだった。




そしたら、久しぶりに間近で保健委員のゼッケンをつけた花菜が俺の前に現れたのだった。


久しぶりに見た花菜。身体付きも女の子になっていて、俺は柄にもなく緊張していた。


髪も伸びていて、長い胸まである髪を耳の真ん中当たりで二つに結んでいる。
前髪も斜めに分けられていて、メガネも花菜らしい落ち着いたおしゃれな感じのだった。




「大丈夫?」と花菜は心配そうに聞くから、ちょっとオーバーだったかな?


肩を貸してほしいと頼んだ俺だった。



そんな、これが初恋なのか・・・・と思えば思うほど、恥ずかしくなる中学生時代だった。



卒業までに告白するはずだった。でも、していない。


そんなの気にすることないって思いたかった。


自分の気持ちを貫きたかった。




でも、やっぱりできなかった理由。





伊月も花菜のこと好きだったから。