朝、早く学校に行って、ピアノを無我夢中で弾いた。





ここ1週間、伊吹とろくに口を聞いていない。




「はぁ・・・・・」



私は、ドラマのヒロインでもなければ、何かの恋に悩める主人公でもなんでもないのに・・・



ピアノを弾く手を止めて、私はボケッとして思う。




・・・・私、こんなにちんちくりんなのにっと思う。






「ピアノの音色が聞こえて来ると思ったら、花菜先生だったんですね!」



ひょっこり、音楽室の重たいドアから顔を出すのは、トーコ先生だった。



「トーコ先生、おはようございます。」



トーコ先生は“ピアノ上手いですねぇ!聴き惚れちゃいました。”と笑顔を見せてくれた。