穏やかな6月の午後。



俺は、サッカー部のコーチと、家族のサポートもあり、花屋の仕事を両立させることが出来ていた。
俺が、店に出れないときは、おやじとおふくろが主に店を見てくれているからだ。
コーチとして指導し始めて、段々と日々にも慣れてゆくのも、周りの人のおかげである。





「ありがとうございました〜」




天気予報は、午後から雨だとゆう予報なのにも関わらず、まだ雨は降る気配はない。



紫陽花を買ってくれたお客さまを送り出し、俺は空を見た。



今頃、花菜は頑張ってるかな?



困ったことはないかな?



とか、いつも頭の中は花菜しかいない。店の花たちを見ると、この中から“花菜”みたいな花を選ぶにはどれかな・・・とかしょうもないことをたまに考える。


スイートピーか? マリーゴールド? これからの季節には向日葵が良いな・・・・


いつの間にか、自分のことより花菜のことを気にかけているし、再会してから結構経つけど、俺は花菜に心ごと、支配されてるようなもので・・・




花菜も同じ気持ちだったら、本当に幸せなんだけどな・・・






「おやじ〜~、ちょっと配達行ってくるから!!」




店の奥で、作業をしていたおやじに声をかけると、遠くから“はいよ”と声が聞こえる。



俺は、配達する花を車に積み込むと車の鍵を手にした。