泣きそうにしている杏。



もう頭を撫でることも出来ないけど、俺は杏には前を向いて歩いて行ってほしいと本気で思う。






「伊吹・・・・大好きだった。まだ失恋の痛みは残ってるけど、私はもう平気だよ。」





「ありがとう、杏。」



俺は、やっと杏の顔を見れた気がする。




「ちゃんと話せて良かったよ。話せなかったらずっと引きづったままだった。」





“スッキリした”と穏やかに笑う杏。




こんな俺なんかより、杏ならもっと良い奴に出逢えるはずだ。



俺は、祈ってる。杏を支えてくれる器のデカイ奴に出会えるのを、心の中で祈ってるから。






だから、さよなら。





「早く行ってあげてよ、花菜先生のところに。」




「あぁ。」




俺は、頷いて杏と別れた。






失恋しても、次は本気の恋であることを願っているから。





さよなら、杏。










俺は、花菜を探しに走り出す−−−−−−−






花菜、愛してる。




愛してるのは、中学時代から花菜だけ。