『コンコン』
「兄貴、お粥とすりおろしたりんご。
食えるだけでいいから食べれるか?」
「おう。世話かけてごめんな。」
そう言った兄貴は少し元気になったようで、ベットから起き上がっていた。
「兄貴、昔から風邪ひいた時はすりおろしりんご食ってたもんな。」
「覚えてたのか。でもさすがに23の大人が食うもんじゃないな。(笑」
「ま、それで風邪が治るならいいだろ。」
そう言うと兄貴は、一瞬驚いた顔をしていたがすぐに優しい笑顔になり、お粥を食べ始めた。
「やっぱ綾人呼んで正解だったな。
ごちそうさま。」
見事にお粥もすりおろしりんごも完食。
しっかり薬も飲ませた。
「ったく、こういうのは本来彼女の役目だと思うんだけど?」
「いたらお前呼んでねーよ。」
(…だろうな。)
「好きな人とかもいねえの?」
「んー……いないな。」
(なんだよ、その「間」は!)

