テーブルの真ん中には大好物の肉じゃが。
新垣家みんなの大好物で、お母さんの得意料理でもあった。
お母さんはもともとお父さんからレシピを教わったみたいで、お父さんが作るとお母さんと全く同じ味になる。
小さい時から大好きだった肉じゃがをお母さんが死んじゃってすぐの頃は、食べるだけでお母さんを思い出しては泣いていたから大嫌いだった。
それが成長していくにつれて、「懐かしの味」、「おふくろの味」に思えるようになり、今では再び大好物になっている。
「やっぱり美味しいね、肉じゃが。」
「あの頃は食べる度に泣いてたもんな?」
ニヤリと笑いながらお兄がからかう。
「お兄、それは言わなくていいの!」
「そんな頃もあったなぁ。」
とお父さんも笑いながらつぶやく。
「お父さんまで言わなくても!」
「「はは、やっぱ由乃は可愛いな」」
「2人とも何言ってるの?!」
散々からわれたけど、久しぶりに賑やかな食卓を囲めて嬉しかった。
肉じゃがもあったから、まるで家族4人で食べてるみたいだった。

