『ガチャ』
「ただいま!遅くなってごめんねっ」
急いで靴を脱ごうとすると、中からとても美味しそうな匂いがする。
さらに、お父さんの革靴がきれいにそろえられていた。
(お父さん、もう帰ってきてるのかな?)
すると、お兄が玄関までわざわざ出迎えてくれた。
「おかえり。今日は父さんが珍しく早く帰って来たから飯作ってくれたよ。」
「そうだったんだ。なら久しぶりに家族みんなでご飯食べれるね。」
リビングに入ると、すでにテーブルの上に料理がたくさん並んでいた。
「由乃、おかえり。
着替えて手洗っておいで。」
キッチンの方から、お父さんの優しそうな声がした。
「ただいま。作ってくれてありがとう!」
それだけ言って、自分の部屋まで駆け上がって部屋着に着替えて、手を洗ってリビングへ。
既にお父さんとお兄は椅子に座っていた。
「よし、みんなそろったし食べようか。」
「「うん。いただきますっ」」
お兄と私の声が揃う。

