そしてみんながいなくなる

 

その後、先輩から機材の使い方、放送時の注意事項などを教わった。




最後に先輩は急に真剣な顔になった。

それまでは、放送している時も、説明をしている時も、穏やかに優しかった先輩が見せた、こわばった顔。
眉間にはシワが寄っている。

そして先輩はこう切り出した。


「あのね、よく聞いて。これは真剣な話なの。決して冗談でもなんでもないのよ。」


真剣な話?何だろう?



私の反応を確認した先輩は、ゴクンと唾を飲み込んで言った。


「この放送室にはね、神様がいるの。
ほら、あれよ……」


先輩の指は、部屋の一番奥にある小さな棚の上を指していた。

そこにはぬいぐるみが置かれていた。

何の動物かわからない二体のぬいぐるみ。

クマのようにもコアラのようにも見える。

母親であろう大きなほうが、子どもであろう小さなほうを後ろから抱くかたちになっていた。


元からの色だろうか、埃を被っているせいだろうか。それは灰色がかった黒をしている。よく見ると、くすんだ色の手編みの服が着せられていた。