急に力強く引っ張られた所偽で、私はバランスを崩して倒れそうになったものの、反射的に足で支えた。
ホッとしたのもつかの間、尚もぎゅうぎゅうと引っ張る男の子に抵抗して、足に力を入れる。
「ちょっ・・・お姉さん、行こうよ」
「い、いや!」
「はっ!?そっちだって乗り気じゃん?
今更そんなのキャンセルなし!無効だよ!」
「わ、私別に行きたいなんて言ってないもん!」
大声を張り上げて怒鳴る男の子に負けじと、私も大声を張り上げた。
踏ん張る私と、私を力ずくで引っ張る彼。
それでも年下とはいえ、男と女の力の差。
非力とも言える状況で、私は彼の力でもうホテルに入店しそうになった。
「い、いやいやいや!やだー!」
涙を含んだ声で叫び、やみくもに手を振り回して足で蹴った。
「いっ・・・!」
男の子の痛そうな声が耳に届いたその瞬間。
「ねえねえ。」
透き通るようなその声で、私ははっと口をつぐんだ。


