桜side

ピンポンパンポーン

「えー2年S組綾瀬桜〜
今すぐ理事長室に来るように〜」

『だるっ…』

そう、誰にも気づかれぬように呟き

足を進める

ノックもせずに扉をあけた

「桜あああ〜」

そう叫びながら抱き着こうとしてきた

そのオールバックの茶髪のいかつそうな

男に蹴りを入れた

「ひどい〜」

泣き真似をするその男は

この白桜学園の理事長、河野 要だ

「要、桜がひいてる」

そう言った優しそうな顔のこの男は
要の弟の河野 巧だ

巧は2年S組の担任だ

『んで要、用件はなに?』

「ん?あー最近どーかなーと思って」

『どーもこーも変わんねえよ』

「相変わらず裏表のひどいやつやなあ」

はいはい裏表ひどくて悪かったね

そう思いながら理事長室を後にした

後ろで要がなんか言ってたが無視をした

『屋上でも行くか…』

そういえば行ったことなかったなと

思いながら階段を登った

この時屋上に行ってなければ

あたしの人生は今までと変わらず

闇に埋もれたままだったかもしれない