コンコン…
「はいどうぞー」
「「しつれいします」」
「これはわざわざお呼びたてして申し訳ありません。
私、神経内科の医師 水野翔と申します。兵藤奈緒さんのご両親ですね?」
「はい、、」
「とりあえずおかけください。」
「単刀直入に申し上げます。
娘さんの病気は重症筋無力症という病気です。」
「重症筋無力症…?」
「はい、簡単に言うと全身の筋肉が衰えていく病気です。手を動かす筋肉、足を動かす筋肉、それぞれがうまく働かなくなる病気です。
いずれ、歩くことも話すことも、食べることも困難になるでしょう。」
「そん、な奈緒は…あんなに元気なのよ、体が動かなくなるなんてそんなこと」
「最近奈緒さん変わった様子はありませんでしたか?
目がぼやける、モノがつかめない、足がふらつくなど」
「確かにあったかもしれないけど、病気なんかじゃ…」
「この前、顔から転んだのも病気のせいです。普通人は、転ぶと反射的に手をつくものなんです。
しかし奈緒さんの手は綺麗なままでした。手の筋肉がうまく働かなかったのでしょう。」
「これから先もこのようなことが「やめて!!!」」
「なおはそんな病気じゃないわ、今だって元気に学校に通ってるじゃない、」
「この病気は進行型です。
ゆっくりではありますが、今も確実に進行しています。
この病気と向き合っていただくにはご両親の支えが一番必要となります。まずはご両親が現実と向き合っていただかなければ奈緒さんも、戦えません。」
「先生、治りますよね、、?絶対に治りますよね?」
「…今のところ有効な治療法は開発されていません…」
「そんな…」
「おい!優子!優子!」
目の前が真っ暗になった。
17年間大切に育ててきた、わたし達の宝物奈緒。
それなのにいきなり病気と告げられて、信じたくなかった。

