サラは授業が始まると心ここにあらず、というように考えごとをしていた。

今年、私は16歳になった。



第3話
〈私〉






16年間ずっと人間界で暮らして、どうせなら人間として生まれたかった。

私は魔界で伝えられる先祖かえりだそうだ。

しかも、始祖様の生まれ変わりだ。

そのため魔力は他の人より強いらしいが、私の存在が知られないように魔力は生まれた時、父と母、魔女によって封印されたようだ。

だから、生まれてこのかた一度も魔法を使ったことはない。

それでもいいと思う。

きっと私は一生、父と母、それと新しくできた弟と双子の妹に会うことはないだろう。

会うことさえできないほど、私は魔界の誰かにとって危険な存在らしい。

魔女には感謝している。

私達、ハーネス家のために人間界に降りてきてくれたこと。

まあでも、何気にエンジョイしているのが伺える。

しかし、最近私はおかしいと思う。

魔力を封印されているわけで、魔力を感じることが出来なかったのに微力だが、この学園に来ると感じる。

何人かの魔力。

が、感じる時と感じない時があり不安定だ。

また、その人と会ったことはない。

帰ったら魔女に相談してみよう。

「ハーネスさん?サラ ハーネスさん」

隣の席のアメリ君。

つり目な猫みたいな同級生。

「はい。あ、ごめん。考えごとしてた」


「じゃあ、聞いてないよね、さっきの。委員会もう先生が勝手に決めたらしい。
君、僕と同じ、生徒会補佐らしいよ」

「は?私が生徒会?」

「そう。ハーネスさんは外部生だから知らないけど。この学園には御三家っていう三人の生徒の派閥があるんだ。その一人が生徒会会長で各クラス二名がクラス長とはまた別に委員会として、生徒会を補佐する」

「権力者みたい、すごいね。けど、どうして私達生徒会補佐なの?」

「何かあるんじゃないか。まぁでも、やるしかないよハーネスさん」

「だよね、よろしくお願いします」

「よろしく」

何気無く握手をした。

ドク、ン。

「ハーネスさん?」

「ううん、よろしく」

かすかに、本当にわずかな魔力を感じた
がまさかと思いたい。

でも、気をつけよう。

その時、校内放送が鳴り響いた。

「各クラスの生徒会補佐は放課後、生徒会室前に集まってください」








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