時が経つのは早く、サラ ハーネスは16歳の少女へ成長した。

生まれた直後、彼女は親と離れ魔女と共に人間界に降りた。

夫婦は赤子を守るためサラを死んだことにし、魔界で暮らしている。

魔女はそんなサラの親代わりを務めている。

「はぁ……いい加減起きなさい」

魔女は額に手を添えため息を漏らした。

なぜ、この少女は百年に一度と伝えられる始祖様の生まれ変わりなのだろうと。

「行きたくない……学校無理」



第2話
〈人間界での生活〉






サラは毎日憂鬱だ。

希望の高校に入学し、楽しい学校生活と期待をつのらせていたのだが、学校に慣れない壁がたちはだった。

朝はぎりぎりまで部屋から出ない。

魔女は呆れつつあった。

中学生の頃までは人並みに女の子だったのに今は廃れた感じがする。

なんておいたわしい事でしょう。

セイミア様とアリア様にはサラ様の成長を毎日知らせていたが、ここ半年知らせをしていない。

こんな姿を見せたくないのだ。

幸いあのアリア様は子を生み今は忙しく、セイミア様も多忙な方であり、連絡が途絶えてしまった。

愛していることには間違いないだろうが、魔女はなんだか悲しい。

もし、先祖帰りでなかったら今頃家族揃って暮らしていただろうに。

「学校遅刻しますよ、サラ様。今日は委員会を決める日ではないでしょうか？休むのでしたら、男性と一緒になるかもしれませんよ」

「ああ、それは困るね」

サラはのそのそとベッドから下りた。

「はぁ……学校きつい」

「だから言ったでしょう。わがまま言わずにエレベーター式の女子校に行くべきと。女子中のリーダー核の子が怖くて外部受験とは泣けます。セイミア様とアリア様の娘らしく堂々としてください」

サラは魔女を睨んだ。

「はーい、行って来ます」

「まだ話は終わってません。このままでは遅刻しますよ、瞬間移動の魔法を」

「いいよ。私は人間だから魔法はいらないの。この先ずっとそうだって言ったじゃない」

サラは魔女の横を通り過ぎ家を出た。

少女は自分が魔界に戻ることはないと思っているため魔法を使おうとしない。

人間として生きる道を選んだ。





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