俺は亜子を追いかける気にもなれず、そこで慎也に電話をした。
『はいよ〜。』
「慎也、今から萌音のマンション来い。早く」
それだけ言って一方的に電話を切った。
すると、意外にも早く慎也はきてくれた。
「急にどうしたんだよ…っ」
少し息切れをしていて、本当に走ってきたんだって思った。
「記憶を無くした…亜子がいた。」
「…は⁇」
慎也は信じられないといった顔をしている。
でも、どこかで信じたいという気持ちがあるのだろうか
少し、嬉しそうにした。
「俺と萌音の事は、モデルとしてわかっていた。でも、慎也のことは…」
「そっか…」
俺の言葉を聞いて、慎也は悲しそうに俯いてしまった。
すると、あこがマンションから出てきた。
「亜子…」
久しぶりにに亜子に会えた嬉しさか、慎也は亜子を抱きしめていた。
「…してっ。…離してよ‼︎」
そんな慎也の気持ちも知らずに、亜子は慎也を思い切り突き飛ばした。
「あなた達、なんなんですか⁉︎」
そういってだんだん怒りだした亜子。
慎也も悲しさでいっぱいの表情で、そんな亜子を見つめていた。
「とりあえず、来い。」
そう言って、俺は亜子の腕を掴んで歩き出した。
慎也にはこれ以上傷ついて欲しくなかったから、帰ってもらった。
「亜子。単刀直入で言う」
そう言うと亜子は不思議そうな顔をして俺を見つめた。
「お前は、記憶を無くしてる」


