「ありがとう。気をつけて帰ってね」
家まで送ってくれた慎也にお礼を言って、家の中に入った。
「亜子。おかえり」
私が帰るとお父さんが起きていた。
しかも、スーツ⁉︎
お父さんの仕事はよく知らないけど、スーツはあまり着ない。
「今、本部から呼び出しあったから行ってくる。戸締りちゃんとしとけよ‼︎」
って、そう言いながらバタバタ出て行ってしまった。
見事なすれ違いだね。
って、お母さんはまだ仕事に行く時間じゃないの⁇
あ、夜勤終わったから何時でも寝てていいんだ。
明日の朝からまた仕事なんだよね。
よし、私がご飯を作ろうかな。
そう思って昨日食べたカレーの残りを使って、カレードリアを作った。
その頃にはお母さんも起きてきたから、お母さんと2人でドリアを食べた。
実はお母さん、最近やっと仕事に復帰したばかりで、それまでは病院にいたの。
お腹に赤ちゃんがいたんだけど、流産しちゃって…
そのときは家族みんなで泣いた。
男の子だったらしい。
3年前にも流産しちゃったんだけどね…
「お母さん、仕事順調⁇」
「えぇ、ちょっときつかったりするけどね」
「あんまり無理しないでね〜⁇」
「うん、ありがとう。」
ーガチャ
「ただいま…」
すると、明らかに元気のないお父さんが帰ってきた。
「今、本部に行ってきたんだけど…。北海道に転勤って言われた」
え…
北海道に、転勤…⁇
って、引っ越すってこと…⁇
「うそでしょ…⁇」
お母さんも信じられないといった声を出している。


