同じ願いで



「もう夏休みだよ〜。海もプールも行こうね‼︎いっぱい遊ぼう♪」





うん、莉乃は遊ぶの好きそうだから言うと思ったよ






「いいよ。暇な時誘ってね⁇」




「わかった‼︎じゃあ、先輩に会いに行ってくるね〜♪」




そう言って上機嫌な莉乃は走って塾に入っていった。




莉乃の通う塾は帰り道にあって、毎回毎回そう言って走って塾に入っていくんだ。





そういう素直な子だから、私は元気になれたのかもしれない。





莉乃がいないと今の私はいないと思う。



莉乃には感謝しても足りないくらい感謝の気持ちでいっぱいだ。



ありがとうね…莉乃




「亜子〜っ‼︎」




そう言って塾の2階の窓から大声で私を呼び、大袈裟に手を振る莉乃。




もうっ、私が恥ずかしいよ…



そんな事思いながらも私は莉乃みたいに笑顔で手を振った。




あっ、後ろ…



莉乃の後ろに立ちふさがった背の高い男の人。




先生か誰かが莉乃の頭をコツンと殴った。




でも、見た感じ莉乃の好きな"先輩"って気がする。




ほらね、顔真っ赤だよ。




私は真っ赤になる莉乃と、その隣で楽しそうに笑う先輩を見て嬉しい気分になりながら家に帰った。