「お母さんただいま!…お母さん?」


その日、いつも聞こえるお母さんの「おかえり」はいつまでたっても聞こえてこなかった。



「お母さん?いないのー?」




リビングに行くと、私の履いていた白い靴下が赤く染まっていった。



「…お母さん?」



まだ幼い私には目の前で起きている事を全て理解し、受け入れることはできなかった。



お母さんと、お父さん。



2人はもう動くことはなかった。