咄嗟に振り返ると、そこには

「武田信幸!!!!」

そう、そこには亜理亜を興味深げに見つめる信幸が立っていた。

「藤城さんが、こっちに行くのが見えたから、思わず追って来ちゃった。」

そう言いながら祠を見渡す信幸に、亜理亜は嫌な感じを覚えた。

出会った時から嫌な感じはあった。

だが、それは性格的な不一致だと亜理亜は思っていた。

だが、違う。と思った。

性格的な、存在が、など、そんな表面の部分の嫌悪感ではなく、もっと深いところでの嫌悪感。

亜理亜は思わず身構えると、信幸は変わらず笑顔を見せながらこう告げた。

「亜理亜は酷いな。俺、わざわざ亜理亜に会うためにこの時代まで生きてきたのに。」