春、大好きな香り、でも今日はもっと良い日になる、そんな妄想をしながら、
真新しい、制服に腕を通す。

「・・・何かを忘れてるような・・・」

「あ、蘭を起こさなきゃ!」

蘭、とは、佐藤蘭、隣の家に住んでいて
小さい頃から遊んでいる幼なじみ、

私は、小学校の時も、蘭と学校に行くために・・・いや、行かせるためにいつも、蘭を迎えに行っていた。

「行ってきまーす!」

私はそう言いながら、いつもより軽く感じるドアを開けた。