「今関か。」
高橋の部下では無いのがまた悩みの種だ。この抱えた怒りの吐き出し先がないからだ。

楓は悩んでいる高橋に声を掛けた。
「大丈夫ですか?新米の刑事には良くある事ですね。」

「良くあるじゃ困るんだよ。他に何か情報はあるか?」


「今、お伝え出来る事は何も。ただ、現場に残っていた加害者の血痕から血液型などは解ると思うわ。」

「わかった。また情報がわかったら連絡をくれ。」

そう言うと高橋は出て行った。


その頃須貝は被害者側の捜査をしていた今関に情報を確認していた。

「被害者は椎名勝 21歳。学芸大学出身。身長は175cmで山梨県出身です。今は都立大学で一人暮らしをしていた模様。自宅では加害者の物らしき物は何もありません。ってか、巡査部長ムカつかない?」

今関は直ぐに仕事以外の話をする癖がある。

「他に情報は無いの?」

「特になし!現場には容疑に使われたであろうナイフが発見されてるけど、特別何も情報は得られていない。」

「そっか、ありがとう。」

「須貝は今の仕事満足してる?」

「いや、してないよ。」

仕事の話から逸れ、同期特有の愚痴大会が開かれる。


須貝は今関と話しながらも、早く高橋に報告しないと怒られるなあと思っていた。