須貝には経験が足りない。
そこで今回の特設チームにも須貝が配置された。高橋のたっての希望である。
高橋は研究班の元へ向かった。
研究班は白衣とマスク、手袋を着用し現場の証拠から情報を引き出す仕事だ。
現場仕事とは違い、頭脳をフル活用する為オタク気質の者が多い。
楓もその一人だ。
「現場のナイフから指紋はとれたか?」と高橋は楓に聞いた。
「いえ。採れていません。どうやら犯行現場に居た警官がナイフを素手で触り誤ちに気づき犯人の指紋事消してしまった様です。」
高橋は深いため息と共に頭を抱えた。
「その警官は誰だ?」
「今関巡査です。」
今関は須貝と同期入社で田舎から出てきた須貝に比べ、今風で女性受けが良さそうな風貌だった。
しかし、ゆとり世代の特徴である効率を履き違えた行動や思考、年功者に対しても軽率な態度をとる。
須貝も同世代で似たような態度をとる時もあるが、根が純粋で真っ直ぐな為、高橋は須貝の教育に力を入れている。
