「かーいじっ」


また佐野君だ。


休憩時間のたびに、無邪気な笑顔で私のところへ飛んで来る佐野君。


嬉しいんだけど、そのたびに心臓が破裂しそうにドキドキして身が持たない。


ゲームの話とか、マンガの話とか、テレビ番組の話とか。


正直、言ってることが全くわからないし。


あーあ。


唯達と話したいなー。


私の姿の海司は女子の輪に入ってはいるけど、なんだかうわの空ね。


海司も会話についていけないんだろうな。


相当つまんないだろうね。


あっ!そうだ。


「け、恵介。ちょっと待っててくれる?」


「え?う、うん」


ちょっと戸惑い気味の佐野君の元を離れ、私は女の子達の輪の中にいる海司のところへ行った。


「花音、ちょっといい?」


私の声に、びっくりする海司。


「なに?」


「いいから。ちょっと来てよ」


きょとんとする唯達を尻目に、私は海司を佐野君のところへ連れて行った。


「恵介。さっき話してた竜のゲーム。

花音は詳しいよー。

多分もう攻略してんじゃないかなー。聞いてみたら?」


「「えっ?」」


同時に声を出す佐野君と海司。


「そうなの?美倉さん」


佐野君が、目を見開く。


意外だろうね。


女の子がするようなゲームじゃないから。


「なに?竜のゲームって。オンラインのやつ?」


海司が佐野君に問いかける。


「うん。そう」


「あーあれならもう解いたよ」


ニヤリと笑う海司。


「まじで?美倉さん。教えてよ」


身を乗り出す佐野君。


「いいよー」


そう言って二人は仲良く話し始めた。


しめしめ。


このスキに~。