次の授業は体育館でバスケ。


これまた苦手な授業だ…。


体育館の半分を男子が使い、半分を女子が使っている。


次、コートに入る番だ。


いやだー。


胃が痛いよー。


ピッと笛が鳴って、ゲームがスタートする。


ビュンビュン行き交うボールに戸惑ってしまう。


さすが男子だよね。


スピードがハンパない。


「立花っ」


クラスメートの男子のパスが、私にビュンと飛んで来た。


「うわっ」


手を伸ばしてみるけれど、そのボールを取れない私。


「えっ?」


目を見開いてビックリしている男子。


それもそのはず。


海司は驚くほど、運動神経がいいんだもの。


「ごめんな。退院したばっかりで、まだ本調子じゃないんだろ?パス回してごめんな」


その男の子が申し訳なさそうに眉を曲げる。


なんだろ。


この気の遣われ感。


なんだか落ち着かない……。


「うっ!」


さむっ。


また悪寒が走る。


恐る恐る女子のコートを見てみれば。


今にも人を刺してしまいそうなほど、すごい形相の海司。


だって…。


だってだってー。


体育苦手なんだもの。


しょうがないじゃないのよー。