「立花ー。おい、立花」


ん?なんかみんなの視線を感じる。


あっ、そうか。


私が先生に呼ばれているんだ。


はいと言って、とりあえず立ち上がった。


「立花、この問題を解いてみてくれないか?」


えっ、何これ。


こんなの解けるわけないじゃん。


「あのー…。わかりません」


どよめく教室内。


だって、本当にわからないんだもの。


「お前なら余裕だと思ったんだが。

あー…そうか。

お前頭を強く打って入院してたんだよな。すまんな」


いや、先生。


頭を打ったとかじゃなくて、もともと出来ないんですけど。


「うっ」


なんか今、ひどく寒気がした。


突き刺さるような、鋭い視線を感じる。


ちらり振り返ってみれば……。


ドス黒いオーラを放つ私の姿の海司。


ひぃぃっ、怖いーーー。


めちゃくちゃ睨んでるじゃん。


えーん。


だって、わからないものはわからないんだよー。