「この前の模試を返すぞー」


朝のホームルーム。


担任の声にざわつく教室内。


出席順に名前が呼ばれていく。


「立花海司」


俺も呼ばれて、テストと成績表を受け取った。


「立花、今回もトップだったぞ」


「どうも」


担任にペコリ頭を下げると、俺の背後がやたらざわつき始めた。


「すごーい。立花君、またトップだって」


「頭いいよねー」


クラス中の視線を感じながら、俺は真っ直ぐに自分の席へと戻った。


そう。


可愛げがないかもしれないが、俺は成績がいい。


勝ち負けにはさほど興味はないけど、完璧主義なのが災いしているのかもしれない。


だから適当な事が出来ないんだ。


それは勉強に限った事じゃない。


どんなスポーツも、やればかなりのレベルまで出来てしまう。


ただ唯一の弱点があって、俺にはスタミナがない。


だから、運動部には入らないと決めている。