俺は俺に近寄った。


眠った自分は何度も見たけど、起きている自分を見るのはさすがに奇妙だな。


「花音」


俺の姿をしたその男に声をかけてみる。


「花音だろ?」


そう言うと、そいつは顔をしかめてコクンと頷いた。


やっぱりそうか。


眠っていたのは花音だった。


「もしかして……、海司なの?」


花音が強張った顔で俺に問いかけた。


「そうだよ」


そう言うと、花音が頭を抱えてしまった。


「ちょっと待ってよ!どういうことなの?」


花音はブルブルと身体を震わせている。