「おーい、海司」


聞き慣れた声に振り返ると、さわやかな笑顔の男が立っていた。


「おう、恵介(けいすけ)。今日は朝練はないのか?」


「うん。今日は休みなんだ。久しぶりにゆっくりしたよ」


コイツは俺の親友で佐野恵介(さの けいすけ)。


サッカー部のエースで、次期キャプテン候補。


顔が整ってやがるから、学年でもトップ3に入るほど女子に人気だ。


「あ、おはよう。美倉さん」


さわやかな笑顔で、花音に声をかける恵介。


「おはよう…」


花音のヤツ、顔を真っ赤にしちゃってよ。


コイツもひそかに恵介に憧れてんだよなー。


俺の近くにいる分、他の女子より断然有利なはずなんだが、どう考えても釣り合わねーし、相手にもされていない。