声のする方を向くと、俺の目の前にサッカーボールが飛んで来ていた。


俺はすぐさまライン引きから手を離した。


そして左肩を上げて上体をそらし、おでこでボールで捉え、首を思いっきり振った。


そのボールは見事、ゴールネットのど真ん中へ直撃した。


うん。


なかなかいいヘディングだった。


さーて、続きやろっと。


俺はライン引きを再開した。


「ん?」


俺の目の前に、無言で突っ立っているサッカー部員。


邪魔だな。


そこどけろよ。


思わずそう言いそうになりながら、ギロリと顔を上げた。