一時中断していた試合は、両チームとも他の選手に交代して続行された。


救急車には、代表で引率に来ていた部員の保護者が乗り込んで行った。


結局、試合は2-0で負けてしまった。


海司が救急車で運ばれたことで、部員達が動揺したのかもしれない。


私は試合が終わるまで、気が気じゃなかった。


「花音ちゃん、病院に行こう!」


「うん」


着替えを済ませた私と恵介君は、海司が運ばれた病院へとバスに乗って向かった。


海司が運ばれた病院は、以前私が入院していたあの総合病院だった。


走って海司のいる病室へ行くと、海司のお父さんとお母さんが廊下に出ていた。


「おじさんっ、おばさんっ」


「あっ、花音ちゃん」


「海司の様子はどうですか?」


私は息を切らしながら尋ねた。


おじさんとおばさんはお互いに顔を見合わせると、はぁと長い息を吐いた。


「それがね…、海司…目を覚まさないのよ」


「え?」


「どうしよう。この前と同じ状態だわ。

またあの時みたいに、あの子が目を覚ますのをずっと待たないといけないの…?」


そう言うと海司のお母さんは、涙を流してその場にしゃがみ込んでしまった。