「あれ?変だな」


「どうしたの?」


「いや、あの。立花先輩、起き上がるの遅くありません?」


そう言われてみれば、そうだ。


相手チームの選手は、もうとっくにチームメイトに支えられながらベンチに入ったのに。


海司の周りにはウチのサッカー部の選手達がみな集まっていて、海司に何やら声をかけている様子だ。


「もしかしたらヤバいかも…?

マネージャーさん、僕らも行きましょう!」


後輩に言われて、ベンチに控えていた全員が海司の元へと走った。


どうしよう……。


私はひどく胸騒ぎがしていた。


「立花!立花、しっかりしろ!」


「立花先輩!目を覚ましてください!」


必死に声をかけている部員達。


みんなをかき分けて前へと行くと、真っ青な顔をして気を失っている海司の姿が見えた。


「海司、嘘でしょう……?」


どうして?


どうして目を覚まさないの?


「キミ達、その子を絶対に動かさないように」


いつの間にか近くに来ていた相手チームの監督が言った。


「これはもう救急車を呼んだ方が良い」


救急車?


そんな……!


監督がスマートフォンで連絡すると、すぐに救急車が来て。


海司は病院へと運ばれて行った。