そうして迎えた試合当日。


我が校のサッカー部は、多目的スタジアムに足を運んでいた。


私はベンチで、彼らのサポートをすることになっている。


「海司、初めての試合で緊張してる?」


恵介君がストレッチをしながら、海司に尋ねた。


「まさか。緊張どころか、ワクワクしてやベぇ」


海司は嬉しそうに言った。


結局海司は、フォワードを担当することになった。


サッカーの試合時間ってすごく長いけど、海司のスタミナは大丈夫かな…。


そんな私の心配をよそに、試合はスタートしてしまうのだった。


「今日の相手って、かなり強いの?」


私はベンチに控えている部員に尋ねた。


これまでの記録を見ると、負け試合の方が多いみたいだけど。


「うん、強いよ。あっちは名監督がついてるからね。

うちの高校もそれなりの選手が揃っているとは思うけど、やっぱり指導者次第だったりするしね」


「そう…」


恵介君、絶対に勝ちたいって言ってたよね。


部員達もそのつもりで、必死に練習して来たし。


今日こそは勝って欲しいな……。