side 菜乃


「もうすぐ夏休みだけど菜乃は長野君とどっか遊び行ったりするの??」


「んー、今年は受験だしなぁ」


「それは菜乃だけね」


「ぶぅー」


これじゃあ遊びたいのにあそびいけない。


「長野君は推薦もらってるんでしょ??」


「まあ…そうなんだけどさ…」


「大学、一緒なの??」


私の友達、浜野 瑞希(はまの みずき)。


瑞希も勿論、推薦をもらって合格している。


「一緒なわけないよー、あっち頭いいんだもん。私は就職」


「あー、なんか頭いいって噂だね。そっかぁー」


「私なんか無理だよ、」


進学なんて。


夢なんかないし。


生きてる感、ゼロ。


「でもさぁ」


「んー??」


私は答える。


「なんか、楽しそうでいいね。あれがみんなが憧れるカップルって感じだね」


「何言ってるのよ瑞希」


クラスにたったひとカップル。


それは私たちのこと。


この学校は商業高校で男子は女子に比べて少なく。


40人中10人が男子。


他は全部女子なんだ。


そんな10人の中、一人だけ目立ったイケメンがいた。


皆はそのイケメンを狙い始めたんだけど、


私に告白してきたそのイケメン。


それが、旬くん。


「菜乃??」


「あ、ううん??」


「話聞いてた??」


「へっ、うん」


聞いてな…


「聞いてないでしょー」


「は、はい…ごめんなさい…」


「だからー」


「ん??」


「その左指。輝いてんじゃん」


「あ…うん」


そうなんだよね。


いつだって、君はここにいるよ。


去年のクリスマス、旬くんからプロポーズされたんだ。


結婚してくださいって。


私はもう、涙が止まらなかった。


大好き。


ずっと大好き。


私の宝物なんだ。