「はい」

『メールしてたのに電話してごめん!電話の方がスムーズに進むかなって思って』



電話の向こうは何やら騒がしい。



友達とでも遊んでるのかもしれない。



「部活は今日ないの?」

『いや、今は着替えてるところ!俺だけ早く着替え終わっちゃって暇してるところ』



着替えてるってことは、野球部専用のロッカールームにでもいるのかも。



だから、そんなに騒がしいのか。



『あ、その日空いてるけど、なにかあんの?』

「あっ、そうそう。その日文化祭あるんだけど、蒼くん来れるかなって思って」

『空いてる空いてる!午後からだけど!絶対行くわ』



嬉しそうに「やったー!」と電話越しで叫ぶ蒼くんに、思わず笑みが零れる。



蒼くんって、たまに無邪気になるから、可愛いんだよね。



そんなこと本人に言ったら怒られるけど…



「じゃあ、私が案内するね」

『真湖ちゃんと回れるってこと?やばい、ニヤける』



ほら。こんなにストレートに言われると、照れてしまう。



「じゃあ、楽しみにしてるね!あと、部活頑張って」

『おう!ありがと。俺もめっちゃ楽しみにしてるから!』