「玄関にお前の靴があったから、彼女って勘違いしてて。彼女連れて来たの⁉︎って質問攻め。適当に誤魔化して来た」



水原くんはため息をついて、床にゴロンと寝転んだ。



でも、水原くんのお姉さん、見てみたかったな。



きっと、水原くんと同じで、綺麗な顔立ちなんだろうな。



自分の中で、勝手に想像を膨らませる。



「今お姉さんいるの?」

「あぁ、いるよ。多分リビング」

「いくつ?」

「今年で23。今はお父さんたちの医者で働いてる」



医者で働いてるって…凄い。



継いでるってことだよね。



…ってことは。



「水原くんも、ご両親の後を継ぐの?」



お姉さんが継いだってことは、水原くんも継ぐよね。



だけど水原くんは、首を横に振った。



「俺は継がない。親も何も言ってこないし、姉貴は元から看護師やりたかったみたいだからさ」



そうなんだ…



みんなそれぞれ、ちゃんと考えがあるんだね。



私は水原くんが持ってきた飲み物を飲みながら考える。



あの写真が…頭から離れない。



あんなに楽しそうに、幸せそうに笑う水原くん、初めて見た。



誰なの?隣にいた女の子は、誰?



水原くんを見ると、水原くんも私と同じようにストローに口をつけてジュースを飲んでいる。



そして、視線を感じたのか、水原くんが私の方をチラッと見て、バチッと視線が絡まった。



私は恥ずかしくって、とっさに視線を逸らす。



その時。



私の視界には、あるものが映った。



それは…テーブルの上に置かれている、卒業アルバム。



「これ、中学の時の?」