水原くんと隣にいる女の子は、頭に同じオレンジ色のハチマキをしていて、ふたりとも半袖のジャージだから、きっと体育祭の日にでも撮ったのだろう。



ふたりともピッタリくっついて、仲良さそうにピースして、満面の笑みを浮かべている。



こんなに笑ってる水原くん、初めて見た。



水原くんは女の子の身長に合わせるように、腰を曲げて笑っている。



水原くん…こんな表情、するんだ。



この女の子は誰?



水原くんの、元カノ?



でも、付き合ったことないって言ってたし…



しばらくその写真を持ったまま、ジーっと写真を見つめていると、階段を上ってくる音がした。



ヤバイ!と思い、急いで落ちた物を拾い、何事もなかったかのようにスマホをイジる。



ガチャとドアが開く音がして、背筋が凍る。



「はぁ。ごめん、遅くなって」



水原くんは何だか疲れ切ったような声で入ってきた。



何かあったんかな?



「どうしたの?」



水原くんは持ってきた飲み物を、散らかったテーブルをバーっと落として飲み物を置く。



その弾みに、さっきの写真が、床に落ちた。



水原くんの視線が、その写真に移る。



水原くんはそれを見ると、少しだけ瞳を揺らして、何ともないようにその写真を片付けた。



…気になるけど、我慢。



「姉貴が仕事から帰ってきて、今さっきまで捕まってた」

「えっ、お姉さんいるの⁉︎」



水原くんは、いつもの表情で頷く。



水原くん、ずっと一人っ子かと思ってたけど、お姉さんがいたんだ。



知らなかった。