「何やってんの?」



水原くんの呆れた声が聞こえて、私はバッと苦笑いを浮かべる。



「あはは…なんでもない」

「…まあ、適当に座れば」



言えるわけない。



変なこと考えてましたー、なんて。



ていうか、水原くん、なんか素っ気なくなった?



…気のせいだよね。



私は迷ったあげく、水原くんの向かい合わせに座った。



「テーブルの上だけ汚いね」



私がテーブルの上を見る。



水原くんはテーブルの上を見て、苦笑いした。



「ここだけいつも散らかるんだよなぁ」

「でも、私の部屋よりはマシだよ。私の部屋なんか汚いし」



スウェットとか脱ぎっぱなしだし。いつもお母さんに部屋見られる度に、怒られるんだよね。



昨日また帰っちゃったけど、この間まで家にいたお兄ちゃんにも、女らしくないって言われたし…



「へぇー。今度笹倉の家行こうかな」

「えぇ⁉︎やめてよ!来るんだったら掃除します!」



見せられるわけないじゃん!



いきなり驚くこと言わないでほしいよ。



「ご両親はいないの?」



不意に、水原くんのお父さんとお母さんを見ていないことに気付いた。



お医者さんだし…忙しいのかな。



「うん。ここ一週間、顔合わせてない」



一週間も?



「寂しくないの?」



私がそう聞くと、水原くんは寂しくないと答えた。



私は無理だなぁ。一週間も顔を合わせないって。



喧嘩もするし、腹が立つこともあるけど、やっぱり頼りになるお父さんとお母さん。



なんだかんだ話すのは楽しいし、一週間っていうのは辛い。