そんな私を見て、水原くんは、は?と首を傾げる。
そして、首の後ろに手を置くと、目線を斜め上の方にした。
「あのさ…この後、なんかある?」
この後?
「いや、特にないけど…」
「じゃあ、俺ん家来ない?」
えっ…俺ん家って…
水原くんの家⁉︎
私たち、付き合ってないのに、いいの?
しかも、男と女がひとつの家に…
「いや、別にそういうんじゃないから」
私の顔が赤くなってたのか、水原くんはブッと吹き出す。
は、恥ずかしっ!
私、何勘違いしてたんだろ…
そうだよね。水原くんが、私をそんな風に見てるわけないか。
自分でそう思って、悲しくなる。
「今から家帰っても俺暇だし。相手してよ」
「う、うん…私が相手になるか分からないけど」
私、女にしては口数少ないし、緋奈乃にはクールだって言われたことあったし。
こんなヤツが、相手になるのかなぁ。
「大丈夫。じゃあ、行こう。すぐ近くだし」
水原くんは優しく笑うと、私の手をギュッと握った。
また繋がれる手。
ドキドキがおさまらない…
「笹倉って、ひとりだと何もできなそうだよな…」
不意に聞こえたその言葉に、私はキッと水原くんを睨む。
「そんな風に見える⁉︎私、凄いしっかり者なのに」
「ふーん」
水原くんは興味なさそうに答える。
自分から言い出したくせに。
水原くんは私の少し前を歩いて、私の手を引っ張る。
繋がれた私と水原くんの手。
その手を見て、頬が緩んでしまう私がいた。
