君に恋するその日まで

「うわっ、痛そ!彼氏も酷いなー」



また中庭から、声が聞こえる。きっとこれも祐介くんの声。



他人事みたいに言って…まあ他人事だけど。



光先輩は私を睨んだ後、屋上から去って行った。



ひとり取り残された私。さっき叩かれた左頬を触る。



熱くなっている気がする。凄く痛い。



こんなんで緋奈乃に会ったら、緋奈乃怒るだろうな。



『あの束縛野郎、覚えとけよ!』って。



ああ、緋奈乃ならありえるなと、少しだけ笑えた。



「大丈夫かー?彼女」



また中庭から声が聞こえる。



私はゆっくり振り向くと、そこには祐介くんが私に手を振っている。



なに、あの人。カップルが軽い喧嘩してるだけって、思ってるだけなんだろうな。



その証拠に、ニカっと笑顔を向けてくる。



「彼女ちゃんがなにしたんか分かんねーけど、ちゃんと謝れば仲直りできるよ!またラブラブになれよ〜」



そんな簡単なことじゃないんだよ。



そう言いかけて、グッと飲み込む。



話したこともない祐介くんを巻き込んでどうすんの、私。



私は一応頭を下げる。祐介くんは、また笑顔を向けてくる。



「頬も痛そうだったよなー、バチン‼︎って。保健室行けよ、女の子なんだから」



そう言い残して、祐介くんはまた友達と話し始めた。



私も前を向こうとしたけど、もの凄い強い視線を感じた。



何だろう?と思い中庭を見ると、みんな楽しそうに笑いながら話している中。



水原くんだけ、無表情で私を見ていた。



ドキっとした。



まるで、何かを見透かしてそうなくらい、私を見つめているから。



しばらく見つめ合っていると、水原くんはプイと顔をそらした。



そして、何事もなかったかのように、祐介くんたちも盛り上がりながら笑っていた。