君に恋するその日まで

私がバシバシ水原くんの腕を叩いていると、水原くんは私の手を掴んだ。



いきなりのことに、ドキっとする。



水原くんは無表情で私の腕を掴んでいる。



その表情が真剣で…私もゴクッと息を飲む。



「お前なあ…女だろ?全然痛くねーよ」



水原くんは私から手を離すと、ふっと笑った。



な、なんだよ…ビックリした。



少しでもドキドキした私を、返してほしい。



本当嫌だ…心臓に悪い。



「ひ、酷い。私だって力はあるし」



少し声が震える。今だにドキドキしてる。



「そんな意地張んなよ」

「本当だし!握力あるし」

「はいはい」



普通に会話できてるよね?



水原くんは私の気なんか知らずに、そのまま私の前を歩く。



球場の外にある自動販売機に行き、冷たいお茶をふたつ買う。



私は自分の分のお茶を自分で買おうとしたんだけど、水原くんが買ってくれた。



「自分の分は自分で買うのに」

「いいよ、お茶くらい。200円もしないし」

「でも、」

「気にすんな。お茶くらい」



そのまま水原くんは私の手のひらを掴み、引っ張る。



繋がれた手。



付き合ってるわけじゃないのに…こんなことするの?



思わせぶり?



水原くんが、良く分からない。